任国での活動(Activity of Botswana)

ボツワナでのコンピュータ技術隊員としての活動

ボツワナのテクニカルカレッジ(職業訓練校)で、ITオフィサーとしてサーバ構築/管理&ネットワーク管理等をおこなっていました。Active Directoryサーバの構築などは先輩隊員から譲り受けた手順書を更新しながら設定したのでこちらには記載していませんが、それ以外の作業については以下に纏めました。

項目内容
1. ウイルス駆除こちらは隊員のPCがウィルス感染した際の対応です。任国での周りのPCは全てウィルスに感染していると思ってください笑
2. クライアント作業アンチウィルスソフトのインストール、WindowsOSのアップグレードやパスワードリセット、データリカバリ等
3. ネットワークのトラブルシューティングカレッジLANやWiFiが繋がらない時のトラブルシューティング
4. ネットワーク作業ネットワーク機器及びサーバの把握の為に、全セグメントにping実行後、応答のあったIPアドレスに対してnmapコマンドを実行し、スイッチなのかプリンタなのかサーバなのかを特定
5. VMware ESXi設定セカンダリの仮想サーバをVMware ESXi 5.5で構築
6. サーバ構築・保守(Windows)DHCPやファイルサーバ、グループポリシーの設定内容確認、セカンダリのActive Directoryサーバ構築
7a. サーバ構築(Linux)Proxyサーバリプレース
7b. サーバ構築(Linux)LAMP環境後にWordPressインストールして、学内ポータルサイト構築(スタッフ情報の表示&サーバ/ネットワークの稼働状態の表示)
7c. サーバ構築(Linux)授業教材/資料の閲覧や小テストの受験を管理できるMoodleのインストールメールサーバを構築したかったのですが、任期が迫り断念
8. ICTレクチャラへの講習Linuxを中心に、Windowsサーバ、ネットワーク、MySQLをレクチャー
9. Webサイト移転WebサイトをRedHatのOpenShift Online2からNetowl社のレンタルサーバ(StarServer)に移行

※ 固定ページの画像は、PHPバージョンアップ及び移設の際に無くなってしまったようです。。

振り返り

2年間の活動を振り返って、前半はクライアント側の対応やネットワーク障害に忙殺された感があります(ランサムウェアWannaCryもこの時期発生)。それでも、自分の任地のPCは機種やOSが統一されていたので、だいぶ良かった方だったと思います。無料ランチを餌に、Microsoftがボツワナ政府のIT部門向けにOffice365をプレゼンしてました。政府IT部門のスーパーバイザーもまんざらでもなさそうだったので、Office365が導入されているといいですね。カレッジ内の500台のOfficeアップデートとか誰もやりたくないですもん。

後半はサーバ構築に専念して、障害に備えてActive Directoryサーバ2重化(セカンダリサーバ構築)、Proxyサーバリプレイス(ライセンス取得してないRHELからCentOSへ)、カレッジ内ポータルサイトリプレイス(HTML&CSSだと誰も更新できないので、LAMP環境+WordPressに変更)等を実施しました。

残念だったこと

ITオフィサーは公務員なので、大して働かなくても給料がでるのでやる気がなく、サーバ構築に関する経験を伝えることがあまりできませんでした。

牛を育てることで文化の違いを考えてみると、(日本は国土が狭いのもあり)牛舎を掃除したり餌を与えたりして労働して対価を得ますが、ボツワナは日本の1.5倍の国土に200万の人口なので、牛がその辺の草を勝手に食べて勝手に育ちます笑。日本の仕事の概念は労働することですが、ボツワナでは牛が育つのを待つ(見守る)のが仕事だったりするので、仕事=労働ではない文化なんでしょうね。

また、帰国が近づいた段階でサーバルームのエアコンが壊れ(真夏)、さらに休日だったので気温が40℃近くになる状況下で稼働し続けたので、月曜日に気付いて電源落とした時には、既に半分以上のサーバが壊れていました。エアコンが復旧するのにボツワナタイムなので3ヶ月近くも掛かり(Deputy principalの英断で、復旧ではなく新しいエアコンを導入)、その後壊れたサーバの復旧作業に多くの時間を割かれてしまい、Moodleインストールやメールサーバ構築とかやりたいことはまだまだあったのですが、断念せざるを得ませんでした。

良かったこと

上記状況下(仕事に対する文化の違い?)だったので、ITオフィサーへのスキルトランスファーから、教職員のITリテラシー向上に舵を切りました。ポータルサイト上に教職員の部署/内線/オフィスの場所を表示できたこと、サーバ&ネットワークの状態を表示できたことで、教職員のITリテラシーを向上できたことは、自分の中では満足することができました。

もやもやしたこと

JICAボランティア事業の主な目的は、以下の3つです。

  1. 開発途上国の経済・社会の発展、復興への寄与
  2. 異文化社会における相互理解の深化と共生
  3. ボランティア経験の社会還元

上記には明記されてなく、また職種にもよりますが、多くの隊員がカウンターパートに対する技術移転を目的に活動しています。現実は単なるワーカーとして活動している人が殆どで、その状況に疑問を感じている隊員も多くいました。文化の違いで技術移転が簡単にはいかないのは当然ですが、JICAボランティア調整員によっては技術移転は目的ではないと言っている方もいたので、そこははっきりして頂きたいと思います。

経済/社会の発展へ寄与するのであれば、普通に2年間働くより、カウンターパートに技術移転した方が、2年後も継続して発展へ寄与できる可能性があると思うんですけどね。

上手くいくかどうかは別として、技術移転を目的にJICAボランティアに参加した人は自分も含めて多いと思います。技術移転はいいから普通に働いてくれという目的であれば、日本のエンジニアの給料が500万として、500万貰ってもわざわざ途上国に行きません!現地で暮らせる生活費+αでも参加するのは、技術移転によって自分の経験がその国で伝わっていくのであれば、とても意義あることとして参加してる人が多いのではないでしょうか。

納税者の立場からも、技術移転なら青年海外協力隊事業に賛成ですが(レバレッジが効くという意味で)、そうでないならば、「ボランティアが来て仕事手伝ってくれるみたい、楽できるね!」と誤解を生んでさらにその国の発展を妨げることにもなりかねない事業に莫大な予算を使うことになるので、反対です。

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