自宅兼オフィス設立
正直どういう順序で進めたらよいかわからなかった。
- 家がない、オフィスがない
- 法人設立するならまずは家とオフィスを準備してから?
- ワークパーミットが取得できるまではどうする?(観光ビザは90日間/年)
- 日本に戻って、家とオフィス料金を払い続ける?
12月中旬にボツワナに到着してゲストハウスに滞在しながら、まずは古巣のオディカレッジを訪問して元同僚やカレッジの教職員の友人に会い、現在のJICA海外協力隊の何名かの隊員と会い、JICAオフィスを訪問した。
たまに連絡をくれる飲み友達が「Hello. How are you?」とメッセージしてきたので、「いまボツワナにいるよ」と返信して連絡を数回取ると、今は無職になって実家に戻っているとのこと。「暇してるなら遊びに来る?旅費とエクストラベッド代と食事代は出してあげるよ」と伝えると、バスで6時間ほどのボボノンから飛んできてくれた。
彼が来てから物事が進み始める。いま家を借りるかは後で借りるかは別として、とりあえず目星は付けておかないとと彼と一緒に家探しをする。ボツワナではインターネットと言えばFacebookだ。家を探すのも、洗濯機が壊れて修理する業者を探すのも、全てFacebookである。Facebook以外のWebサービスはYoutubeくらいしかないのである(なのでビジネスチャンスは無尽蔵にある!)
Marketplaceで首都ハボロネから10キロ圏内の賃貸物件を探す。首都ハボロネのパカラネというエリアで物件を探したいのだが、そんな詳細検索はできない。たくさん表示される中からパカラネを見つけては詳細ページに飛んで一つづつ確認する。とても骨が折れる作業だ。1Kなんてほぼなく、2LDK以上がほとんどで、かつ高級住宅街エリアでもあるので7000プラ以上が相場だ。
そんな中、1Kが奇跡的に見つかり値段も2500プラとのこと。連絡して翌日内見に行く。ハウスオーナーと同じ敷地の反対側に1Kが併設してあった。なんと電気/水道/WiFi料金まで込みとのこと!(エアコンを購入したらさすがに実費を請求するとのことだったが)。2500プラ程度なら日本に帰国している間も払い続けることができるので、翌日に契約した。
セキュリティフェンスもあり、またハウスオーナーが同じ敷地内にいるので、何か困ったことがあればすぐ相談できそうなのも気に入ったポイント。事情を説明し、当面の間はオフィスとしても利用させてもらうことに。
※ 1プラ ≒ 11円
会社登記
ハウスオーナーに会社を設立しようとしていることを伝えると、利用しているエージェントを紹介してくれた。会社登記と銀行のビジネス口座開設に必要な書類のセットで950プラ。CIPA(Companies and intellectual property authority)というところが管轄していて、どうやら自分でオンラインで申請することもできた模様。ビジネス口座はFNBとABSAの計2つ作りたかったので、250プラを追加で支払って依頼した。
会社名をどうするか?については、granum Botswana (PTY) LTD とした。現地法人でよかったのだけど、もしVC等から資金調達することも視野にいれると、海外支社方式でないと資本関係がない別会社扱いになってしまうのではとか、海外現地法人への資金移動が難しいという話しもあり、色々勉強しなければ。。笠井さんのところにお願いしようかな(どこかで登壇しているのを拝見しただけで面識はない)
会社名だけでなくサービス名の商標登録も進められて今回は断ってしまったが、やっぱり必要なことを理解したので、ボツワナに戻ったらサービス名の商標登録も依頼する予定。あとライセンス形態もミニマムなものでとりあえず申請したので、あとで修正が必要かも。
オーバーステイ
ワークパーミットのエージェントと打ち合わせをしていたら、「あなたオーバーステイしているわよ」と言われた。観光ビザは年間90日まで滞在可能だけど、単なる観光目的と伝えると「35日あれば充分でしょ」と判断されてV35Dと明記されてしまっていた模様。実はビジネス目的ですとも言えないので、途中で気付いたら警察署に行って「期限の35日が近づいてきたけど、まだまだ観光/滞在するつもりです」と言ってMAX90日の許可(スタンプ)をもらってからイミグレに行けばよかった模様。
このエージェントが仕事が早くて、車で連れていってくれて下記の対応をしてくれた(オーバーステイ対応として、700プラは請求されたが)
- イミグレに連れて行って貰う(警察署に行って罰金を支払う必要があるとのこと)
- 警察署に連れて行って貰う ⇒ 罰金を払う(約1万円)
- イミグレに行って、この後どうしたらよいか聞く(身元保証人が必要とのこと)
- ハウスオーナーのことも知っているので電話して状況を説明してくれて、スケジュールが空いている週明けに一緒にイミグレに行くことで調整してくれた
- 週明け、ハウスオーナーは首都ハボロネの娘さんところに滞在していたが、エージェントが「きっちり時間通り来なさいよ」と鬼電/鬼メッセージしてて、自分が到着したときにはエージェントもハウスオーナーもスタンバっていた ⇒ 晴れてMAXの90日間滞在できることに
銀行のビジネス口座開設
会社設立は銀行のビジネス口座開設までがセットの模様。BURS(Botswana Unified Revenue Service)が税を管轄していて、銀行を介して納付するのが決まりらしい。
FNBでは「あなたの住所はワークパーミット&レジデンスパーミットが取得できてないんだから日本の住所を書くべきでしょ」と言われて修正し、ABSAでは「あなたと従業員のサラリーも明記せよ」だとか色々細かい点について2,3箇所の修正を求められた。書類の数も多いし、エージェントに作成してもらって正解だった。
銀行には署名したボツワナ人Directorと同行して再度サインが必要で、両方ともほぼ終日掛かり、結構骨が折れた。
- Certificate of incorporation(定款)
- Share certificate(株券、ボツワナは100%外国人でもOK)
- Proof of business for director and signatory(取締役および署名者のビジネス証明書)
- Extract of the minutes of the meeting of the board of directors(取締役会議事録抜粋)
- Cashflow projections for financial(財務のキャッシュフロー予測)
- Company profile(会社概要)
- Practicing certificate for Secretary(秘書の実務証明書)
- Application for registration as a taxpayer(納税者登録申請書、ワークパーミットが取得できたらでOK)
銀行のビジネス口座開設(問題編)
「会社登記〜ビジネス口座開設〜ワークパーミット取得」が関連しているので、会社登記だけであれば難しくはないけど、実際に会社を経営して税金を収めるには銀行のビジネス口座の開設が必要で、ワークパーミット取得にはそのビジネス口座で3ヶ月のバンクステートメントが必要です。
会社登記及びビジネス口座の開設のポイントとして、自分(外国人)一人で会社を設立するか、ボツワナ人パートナーと一緒に設立するかを選択する必要があります。ボツワナ人パートナー抜きで進める場合、多額の資本金が必要だったりと現実的ではないので、ボツワナ人パートナーと会社を設立する方向で進めました。
株を半分ずつ持つと会社を乗っ取られる可能性があるのでかなりリスクがありますが、東南アジアなどはそのようにしないと現地法人を設立できなかったりします。ボツワナは100%外資でOKなのでそのリスクはないです。ただボツワナ人を一人は取締役として任命する必要があります(後で解任することは可能)
内容は割愛しますが、ここは色々と問題が発生して大変でした。。
ワークパーミット
上記の会社登記と銀行のビジネス口座開設で準備したドキュメントと被る部分も恐らくあり、それ以外としては下記が必要とのこと(日本で用意する必要があるものが幾つかある)
- 3ヶ月のバンクステートメント(オフィス賃貸の振り込み、従業員への給与振込等)
- Medical report(健康診断書)
- Copy of birth certificate certified by embassy(大使館が認証した出生証明書のコピー)
- Educational qualifications or certificate(学歴または証明書)
- Curriculum Vitae(履歴書兼職務経歴書)
所感
会社登記だけであればそう難しくもない気もするが、銀行のビジネス口座開設やワークパーミットまでを含めて考えるとそれなりに面倒な気がする。ボツワナだから時間が掛かるのに対して、3ヶ月の観光ビザの間に自宅兼オフィスを設立して、会社登記して、ボツワナ人を雇用して取締役にも任命して、銀行のビジネス口座を開設するとなると、結構時間的余裕は無いような気もする(この間に従業員が急に来なくなったりもするので)
ボツワナ人を雇用して、3ヶ月間は日本に戻って遠隔で指示を出さないといけないとすると、これまた難しい。ちゃんと採用に時間を掛けてよい人材を採用できていれば日本に帰国後もきちんと働いてくれるとは思うけど、3ヶ月の観光ビザの間に採用に時間を掛けている時間はない。3ヶ月のバンクステートメントが取得できてワークパーミットも取得できたら、チームは解散して、再度イチから採用活動を始めてチームを作り直そうと思う。やっぱりゼロイチのフェーズが大変だよね、特に開発途上国で起業した場合は。
逆に考えると、簡単に外資が入ってこれる訳でもないので、そこは競合に怯えなくていい/競合が入り込むまで少し時間が掛かるという安心材料でもあったりする。