12/7(月)~12/17(木)まで、PCインストラクター/コンピュータ技術隊員向けの事前補完研修がありました。
会社で受講する研修のようなイメージを持っていたので、正直面倒だなーと思っていました。基本的なハードウェアのことはわかっているつもりだったし、派遣前訓練はブログを見る限り楽しそうだけど、技術補完研修は違うんだろうなーと。でも蓋を開けてみるとイメージと違いました。今はこの研修受けることができて本当に良かったなと思っています。
- 青年海外協力隊に特化した研修で、任国ですぐ役に立つ
- たぶん派遣前訓練の雰囲気に近い
日程 | 項目 | 学習目標 |
---|---|---|
12/7-12/11 (5日間) | ハードウェア | 任地で1人でリペアとトラブルシューティングができる。PCハードウェアにおける故障原因を切り分け、故障部品を交換し、OSのクリーンインストールができる。 |
12/12-12/16 (4日間) | IT総合演習 | PCを使用する授業が行える教室の構築と教材の準備を行い、15分間のインストラクションを実践できる |
12/17 (1日間) | 顧問講話 | 任国の状況を把握し、異文化の職場に適応するために必要な事柄を理解する。任地の想定される要請内容と状況において、どのような問題があり、どのように授業を進めていくかグループ発表を通してイメージする。 |
PCリペアの研修が非常に勉強になりました。任国の大半の学校ではPCの大半が故障していて、1人に1台行き渡っていません。仮に10台のPCが壊れていたら、正常な部品を繋ぎ合わせれば半分くらいは使えるようになるかも知れません。ただ、メモリやハードディスクを増設したことはあっても、CPUや電源を交換した経験がある人は少ないのではないでしょうか。
PCリペア手順
PCリペア手順をここに纏めておきます。
まずは基本としてコンピュータの5大機能をおさらい。コンピュータを端的に表現すると、インプットされたデータを処理(計算)し、出力する装置です。
※ 各機能の詳細は、パソコンの仕組みあたりが参照になるかもです。
機能 | 部品名 | 備考 |
---|---|---|
入力 | キーボード、マウス、スキャナ、マイク等 | データの入力を行う装置 |
演算/制御 | CPU | 計算処理を行う装置で、人間の脳に該当する。 |
主記憶 | メモリ | 一次的な作業領域で、机に例えられる。補助記憶より領域が狭いが処理は速い。 |
補助記憶 | HDD(ハードディスクドライブ) | 机の引き出しに該当する。処理は遅いが多くのデータを格納できる。 |
出力 | ディスプレイ、プリンタ、スピーカー等 | 処理されたデータを出力する装置 |
PCは、電源(PowerUnit)、マザーボード、CPU、メモリの4つの部品があれば起動することができます(HDDは無くて構わない)。その構成を最小構成といいます。リペアをする際は、この最小構成の状態で起動させることを最初の目標にします。
※ 電源、マザーボード、CPU、メモリについてはマザーボード(MB)の役割が参考になるかもです。
最初に定格電圧が任国のものになっていることを確認します。
※ 各国AC電圧票
※ 寄付されたものが全て壊れていたと判断され放置されていたPCが、実は定格電圧が切り替えられていなかっただけという事例があったようです。。
カバーを外します。
部品を取り外してみました。
静電気放電によって、マザーボード・メモリなどを故障させてしまう恐れがあるので、リペアを行う時は静電気防止リストバンドが有効です。ただ作業しづらいので、自分はPC外枠を触って静電気を逃がすことで対応すると思います。
真ん中にあるのがCMOSバックアップ用ボタン電池です。OSが立ち上がらない時、POST(Power On Self Test)画面で以下のメッセージが出力された場合、このボタン電池の電池切れの可能性が高いです。CMOSバックアップ用ボタン電池(CR2032)の規格は共通のようなので、任国に行く前に幾つか持っていくと役に立つかもしれません。
- 0271:システムCMOSのチェックサムが正しくありません、-デフォルト値が設定されました。
- CMOS Checksum error-Defaults loaded
このPCのHDDはシリアル伝送のSATA(シリアルATA)ケーブルですが、古いPCだとパラレル伝送のIDEケーブルの場合もあります。
1. 最小構成にする
※ 前提条件として、同一機種のPCが複数台壊れていることを想定。同一機種の正常なPCも用意しておく。同一機種のないものは、被疑箇所を特定しても交換する部品がないので、リペアしない。キーボードは接続しておかないと起動しないので、モニタもPOSTやBIOS設定画面の確認時に使用するので接続しておく。
慣れてきたら状況に応じてとなるが、最初はHDD、CD/DVDドライブ、NIC(ネットワークインタフェースカード)、ビデオカード等、最小構成以外のものは取り外す(電源/CPU/メモリ/マザーボードが正常でも、壊れたビデオカードが刺さっているとPCが起動しないので)。
HDDを接続していないので、OSは起動しません。POST画面が表示されたら最小構成の起動確認ができたということになります。
2. 電源を疑う
電源が正常であれば、電源をONしなくても、5V SBと呼ばれる5Vのスタンバイ電流が流れているはずなので、まずは電源OFF状態で確認する。マザーボードから電源のケーブルを外し、マルチテスターで、+5.0V SBとGNDに接続し、5Vの電流が流れていることを確認する。ATX電源のピンアサインについては、下記サイトが参考になると思います。確認できたら、次は電源ケーブルをマザーボードに刺し、フロントパネルコネクタのPWR(Power)SWをドライバ等でショートさせ、電源が入ることを確認する(フロントパネルの電源ボタンとフロントパネルコネクタを接続したまま、電源ボタンを押すのと同じ)。
マルチテスターは、OHM(オーム電機)のデジタルマルチテスターを購入しました。このマルチテスターはケーブルの収納が楽でした。
※ ATX電源の動作テスト
※ フロントパネルコネクタ
3. メモリを疑う
電源が問題なければ、次はメモリを取り外し、正常なPCに接続します。これで正常なPCが起動すればメモリは正常、起動しなければメモリ故障と判断できます(故障していた場合、恐らくピーというビープ音がなります)
4. CPUを疑う
電源とメモリが問題なければ、次はCPUを疑います。正常なPCから取り出したCPUを取り付け、正常起動することを確認します。正常起動すればCPU故障と判断できます。
5. マザーボードを疑う
マザーボードが故障かどうかを疑うのは難しいので、電源/CPU/メモリが問題なければ、マザーボード故障と判断し、電源/CPU/メモリは正常部品としてストックしておきます。
POST画面で”CMOS Checksum error”が出力されていればCMOSバックアップ用ボタン電池の交換、それとBIOSの設定がおかしい場合もあるので、BIOSの初期化も試しておくといいかも知れません。
トラブルシューティングツール
他にリペアの際に役に立ちそうなツールは以下です。
LANケーブルテスターは、LANケーブルの導通を確認するツール。機器同士をLANケーブルで繋ぐことでも導通確認できるので、購入するかは迷うところ。。
BIOS初期化及び最小構成確認後の対応についてはまた後日にでも。。
いずれこれを英訳して、技術移転がはかどるといいな。