日本ではあまり馴染みのないこの巡礼、自分も少し前までは知りませんでした。ちょっとだけお遍路を歩いた時(GWの時なので実際に四国を歩いたのは3日間)、フランス人と出会ったので、このお遍路をどこで知ったのかと尋ねました。彼女は「カミーノ・デ・サンティアゴ」というスペイン巡礼のゴール地点で、日本に同じような巡礼ルートがあるというパンフレットを見てきたのだと言った。それを聞いて、逆に「カミーノ・デ・サンティアゴ」という巡礼があることを知り、日本と違って多様な巡礼者が集まるこの巡礼に興味を持ち、もしいつか長期の休みが取れるときがあれば、行ってみたいと思っていました。
日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会というサイトにたくさん情報が載っています。実際に行く前にここで情報収集して、本も1冊購入をお勧めします。ただ詳しい地図があるものはなさそうなので、英語が得意な人は英語版のガイドブックの方がいいかも知れません。
自分はフライト当日にバックパックを購入したくらいギリギリだったので、カミーノ・デ・サンティアゴのガイドブックを買う時間もなく、スペインのガイドブックを買いましたが、初日にフランスなので地図に載ってなかったり、色々苦労しました。ガイドブックがあれば旅がだいぶ楽になっていたはずです。Kindleを持っていっていたので、ガイドブックではなかったですが巡礼記を購入することができ、それなりに役に立ちました。
必要な持ち物
- パスポート(期限が半年以上あること)
- バックパック ※両脇にペットボトルが入れられるもので、かつその分横に広がるものがお勧めです
- モンベルのトレッキングシューズ ※モンベル製の登山靴は丈夫でした!
- マルチ変換プラグ
- カミーノ・デ・サンティアゴのガイドブック
- 寝袋 ※コンパクトに収納できるものがいいです
- 着替え
- サンダル
- 足のメンテ用品(クリーム、消毒液、絆創膏)
- ヘッドライト
- ウェットティッシュ(アルコール)
- 果物ナイフ
- 圧縮袋
- 手袋
- マスク
- 爪切り
- 竹踏み
8番までが必須で、それ以降は現地で購入出来たり、無くても何とかなります。自分はガイドブックが無かったので、サン・ジャン・ピエ・ド・ポーに着いた時、クレデンシャル(巡礼手帳)はどこで貰えるのか、アルベルゲ(巡礼宿)はどこにあるのかわからず、途方にくれました。。せめて駅に着いてくれればよかったのですが、工事中なのかバスに乗り換えさせられたので、20時にひっそりとした住宅街に降ろされるという洗礼を受けました。
日本と違って部屋の中で靴を脱ぐ習慣がない国ですが、代わりにサンダルが必要でした。さすがに登山靴を部屋の中で履けないですし、トイレやシャワーを浴びるときに必要でした。2つ持っている人がいたので、パンプローナという街で購入するまで、貸してもらって乗り切りました。
あと寝袋ですね、寝袋は持っていたので持っていくかどうか迷っていたのですが、情報収集の時間が足りなかったので、持っていかないという選択をしてしまいました。アルベルゲ(巡礼宿)は基本的に二段ベッドにマットレスがあるだけなので、寝袋は必要でした。持っていない自分は、ジャンパーを掛けるなどして乗り切りました。(場所によってはブランケットを貸してくれるところもありますが、直接ではなく、寝袋の上に掛けて使うようです)。最初の頃は寒くなかったので、なくてもいけるんじゃねとか思ってましたが、途中から寒くなって、買いたくても日曜でお店が休みだったり小さい街で売ってなかったりで、暫く凍える日々を過ごしました。
足のメンテ用品は持っていった方がいいですね。クリームがいいです。クリームが滑りを良くしてくれるので、足の指の摩擦による水膨れとかから予防してくれるようで、旅慣れている人はみんな持ってました。途中で分けてもらいましたが、とてもよかったです。
ヘッドライト/ペンライトはどっちでもいいと思います。ペンライトはスマホのライトで代用できるのでいらないとして、ヘッドライトはあれば両手が空くので朝の身支度が少し楽になります(真っ暗な中、各自ペンライトなどで身支度するので(寝てる人もいるので電気は付けない))。11月の途中からは8時にならないと明るくならないので、ヘッドライトがない自分はそれ以前に出発することが出来ませんでした。ただヘッドライトを付けても、見知らぬ土地を矢印を見失うことなく歩くことは困難なので、よほど旅慣れた人でないと日の出前に歩くことはないと思います。
果物ナイフは現地で購入しました。フランス製のナイフは切れ味もよく、パンをカットしたり、色々重宝しました。寝袋を購入したらバックパックがパンパンになってしまったところ、圧縮袋を分けてもらい何とか収まりました。朝晩は冷えるので、マスクは重宝しました。あとウェットティッシュも持っていってよかったなと思っています。アルコール除菌タイプだとなおいいと思います。爪切りも1ヶ月もいると伸びるので持っていった方が。
重量は10kgです。ノートPC(電源アダプタ含め2kg)を持っていったので、とても重かったです。現地に着いてからは食材も持ち歩いていたので、11kg程度の重量になっていたと思います。
※ 竹踏みが凄くあったらよかったなとずーっと思ってました。スペインでは売っていないので、ぜひ持っていくといいと思います!
スケジュール
日程 | 宿泊地 | 距離 | 記事 |
---|---|---|---|
序章1 | パンプローナ(Pampelune) | – | フライト当日にバックパックと登山靴購入して日本出発 |
序章2 | サン・ジャン・ピエ・ド・ポー(Saint Jean Pied de Port) | – | スペイン移動し、巡礼事務所でクレデンシャル(巡礼手帳)をゲット! |
初日 | ロンセスバーリェス(Roncevaux) | 27km | 食料持たずにピレネー山脈越え |
2日目 | ズビリ(Zubiri) | 20km | 人見知りMAXから打ち解けてくる |
3日目 | パンプローナ(Pampelune) | 20km | 牛追い祭りで有名なパンプローナに到着 |
4日目 | レイナ(Reina) | 25km | 別れ、それぞれの道へ |
5日目 | エステラ(Estella) | 22.4km | スペインのバルを満喫 |
6日目 | トレスデルリオ(Torress del Rio) | 28km | 足の指が限界に達する |
7日目 | ログローノ(Logrono) | 21km | 遭難しかける |
8日目 | ベントサ(Ventosa) | 20km | 足が限界なので距離を減らすも水膨れが破裂 |
9日目 | カルザダ(Calzada) | 30km | 2日振りの再会 |
10日目 | トサントス(Tosantos) | 28km | 庭にある薪ストーブがいい雰囲気 |
11日目 | アタプエルカ(Atapuerca) | 23km | 今日もただ歩く! |
12日目 | ブルゴス(Burgos) | 21km | 離ればなれになっていた人達が、引き寄せられるように同じアルベルゲ(巡礼宿)に集結 |
13日目 | サリア(Sarria) | 400km(Bus) | 時間が残り僅かなので仲間に別れを告げ、バスでゴール手前113km地点に移動 |
14-18日目 | サンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostella) | 113km | これといった出来事もなく、あっという間に目的地に到着 |
19-21日目 | マドリード(Madrid)~成田(日本) | – | 無事帰国する |
この旅の醍醐味
この旅の醍醐味を簡潔に表すと「パーティーを組んで歩けること」「アルベルゲ(巡礼宿)のキッチンで仲良くなれること」なのかなと思う。一人旅もいいけど、ここまで色んな人と関われる旅って他にないと思う。最初はもちろん一人で歩いていて、ピレネー山脈を越えるあたりで途中で昼食を取ったりしている内に自然と10人程度のグループになっていて、少しずつ会話していくようになる。一緒に歩いたりと、これはまるでRPGだねと話していたけど、まさにそんな感じだ。
歩幅が合う人と自然とパーティーを組むようになり、10人の大所帯も細かいグループに分かれていく。自分は韓国人のリーとウンバルとドイツ人のオルゲン(途中からジラスも加わる)の4-5人で歩いていた。リーとウンバルとは英語で会話できたが、オルゲンは英語が話せなかったので、最初会話ができなかったが、何度か同じアルベルゲに泊まったので、自然と一緒に行動するようになった。ジェスチャーのみで一緒に旅をするなんて、この先も経験することはきっとないだろう。
日本のホテルで他人に声を掛けることはほぼないだろう。でもここはドミトリーのように大勢が同じ部屋に泊まり、また巡礼という共通の目的があるので、会話はすぐ始まる。あなたはどこの国の人?どこから歩き始めたの?コインランドリーするならシェアしない?とか。なかでもキッチンは一番話しやすい場所だ。自分は海外の人との会話が一番楽しみだったので、キッチンがある宿に泊まった際はなるべく外食せず、キッチンで料理しながらそこにいる人達との会話を楽しんだ。200円のボトルワインを片手に飲む?と問いかければ、すぐに仲良くなれる。
アメリカ、韓国、イタリア、ドイツ、フランス、スペイン、オランダ、イギリス、ポーランド、オーストラリア、ブラジル、メキシコ、中国(台湾)、チリ、マルタ。覚えているだけでこれだけの国の人と会話した。思い通りのドイツ人の人もいれば、イタリア人っぽいドイツ人もいたり。
この巡礼は元々人気があったが、星の旅人たち(THE WAY)の大ヒットによりアメリカでこの巡礼がブームとなり、韓国でも若者を中心に爆発的なブームになっている。日本も何かをきっかけにブームが来るかもしれない。